山下達郎が語る音楽制作における音作りの変遷
サカナクションの山口さんの動画でも山下達郎さんのことを言及していたので
動画を調べてみたらちょうど音楽制作やオーディオについて
本人が語っている動画を見つけました。
それぞれのアルバム制作におけるレコーディング環境の変遷について
詳しく話をしていて興味深いです。
ハイレゾについても、
「きれいな音が必ずしもロックにとってはいい音ではない」
と言っていたり、
電源について、
「みんなが電気を使い始める時間の前にレコーディングを済ませる」
のような話もしていて面白いです。
あまり聞けない内容の話だと思います。
山下達郎40th① アナログ時代の音楽制作を語る
Geminiによる要約:
この動画は、シンガーソングライターの山下達郎さんが、ご自身の音楽制作活動40周年を振り返り、特にアナログ時代のレコーディング環境や音作りについて語ったインタビュー音声を収録したものです。
動画の内容を詳しく要約すると以下のようになります。
1. 初期の制作環境と「インディーな音」
- デビュー当時のバンド「シュガー・ベイブ」時代は、湿気の多いビルの2階にあるスタジオで、テレコ(テープレコーダー)1台とマイク1本という非常にシンプルな環境で録音していました。
- 当時は環境が良くないと感じていたものの、今振り返るとそれが逆に「インディーな音」「90年代のローファイ・ヒップホップのような感覚」を生み出しており、結果的にロックンロール的で良かったと語っています。
2. 「オーディオ」と「音楽」の違い
- 活動初期は機材にお金をかけられませんでしたが、80年代以降徐々に環境をグレードアップさせていきました。
- しかし、達郎さんは「オーディオ的な音の良さ」と「音楽的な感動」は別物であると強調しています。ノイズや歪みを気にするあまり音楽を楽しめなくなる「オーディオマニア」的な聴き方ではなく、安いラジオやスマホで聴いても感動できるのが本当の音楽の力だと述べています。
3. アナログからデジタルへの移行と苦労
- キャリアの最初の10年はアナログ、その後の30年はデジタルで制作してきましたが、デジタルへの移行当初は大変な苦労があったそうです。
- 特にロックの要素である「音の歪み(ガッツや音圧)」が、初期のデジタル録音では綺麗になりすぎて失われてしまい、それを人工的に作る必要があったことなど、技術的な試行錯誤について語っています。
4. 自身で最も音が良いと思うアナログ作品
- 「アナログ録音に戻りたいか?」という問いには、機材や産業規模の面でもう戻ることはできないと現実的に答えています。
- その上で、アナログ時代で最も満足のいく音が録れた作品として、1983年のシングル**「スプリンクラー」**を挙げています。16トラックのアナログ録音ならではの「音の太さ」や「コシ」があり、アナログの完成形に近いと評価しています。
山下達郎40th② アナログからデジタルへの移行を語る
Geminiによる要約:
この動画は、シンガーソングライターの山下達郎さんが、音楽制作における「アナログからデジタルへの移行期」の苦労や、現代の音楽環境(ハイレゾ、ストリーミング、アナログ回帰など)について本音で語ったインタビューの要約です。
1. アナログからデジタルへの移行の苦労(『POCKET MUSIC』時代)
- 経験則が通用しなくなった: 1983年頃まではアナログ録音のノウハウで上手くいっていたが、アルバム『POCKET MUSIC』の頃にデジタルレコーディングへ移行した途端、それまでの10年間の経験則(楽器の組み合わせや音作り)が全く通用しなくなり、すべてが白紙に戻ったような苦労をした。
- 初期デジタルの音: デジタル初期は、スタジオで録音したものを自宅の普通のステレオで聴き直すと、音がペラペラで感動がなく、半年ほど悩んだ。
- 試行錯誤: デジタルはアナログのような自然な音圧(ガッツ)が出ないため、楽器の数を減らして隙間を作るなどの工夫で対応した。そのため『POCKET MUSIC』は少し内省的な曲調や静かなアレンジが多くなっている。
2. デジタル・リマスタリングと「音圧競争」
- アナログへの憧憬: 90年代のデジタルリマスター技術は「いかにデジタル臭さを消してアナログに近づけるか」がテーマだった。
- 音圧戦争の弊害: その後、ラジオやCDでの聴こえ方を競う「音圧競争(ラウドネス・ウォー)」が激化し、2000年代頃にはすべての音が前面に張り付いた、隙間のない余裕のない音になってしまったと振り返っている。
3. ハイレゾと現代の再生環境
- スペックと音楽性: ハイレゾ(高解像度オーディオ)でスペック上の数値が上がっても、それがロックンロールなどのジャンルにとって必ずしも「良い音(適した音)」とは限らない。綺麗すぎる音が逆に迫力を削ぐこともある。
- 再生環境の二極化: 現代は「高級オーディオ」か「スマホ+イヤホン」の両極端で、かつてのような「中間層のちょうどいいコンポ」が存在しないことを危惧している。
- アルバム文化の衰退: 若い世代が単曲ダウンロードで音楽を聴くようになり、アルバム全体のコンセプトや曲順の意味が伝わりにくくなっている現状を指摘している。
4. アナログ・カセット回帰ブームへの「本音」
- 「今さらなんだ」: 近年のアナログレコードやカセットテープのブームについて、「80年代半ばにデジタルへ移行させられ、アナログが『過去の遺物』扱いされた当時、散々苦労して抵抗した自分からすると『今さらなんだ』という気持ちがある」と本音を漏らしている。
- カセットよりスマホ: 「カセットテープの音が良い」という風潮には懐疑的で、それなら今のスマホのラジオアプリ(radikoなど)の方がよほど音が良いと語っている。
結論
時代は戻らないため前に進むしかないとしつつも、ハードウェア(再生機器)の衰退や音楽の聴かれ方の変化に対して、長年のキャリアを持つミュージシャンとしての複雑な心境を吐露しています。
山下達郎40th③ アルバムジャケットへのこだわりを語る
Geminiによる要約:
この動画は、シンガーソングライターの山下達郎さんがご自身のアルバムジャケット(アートワーク)へのこだわりや制作背景について語ったインタビューの一部をまとめたものです。
主な要点は以下の通りです。
1. アルバムジャケットの変遷とこだわり
- 『FOR YOU』: 鈴木英人さんのイラストを使用。達郎さん自身が鈴木さんの作品を気に入り、直接オファーして実現しました。このジャケットがきっかけで鈴木さんも一躍有名になりました。
- 『POCKET MUSIC』: 林恭三さんという彫刻家による立体的な作品を起用。それまでの鈴木英人さんのイメージを変えたかったという意図がありました。
- 『RIDE ON TIME』: 小暮徹さんによる写真撮影。当時は長時間(数時間)にわたる撮影は珍しく、達郎さんが「素人だから」となだめられながら撮影したというエピソードが語られています。
- 『Christmas Eve』: 2017年の「クリスマス・イブ (2017 Christmas Special Package)」のジャケットは、古くからの友人であり、ジオラマ作家としても有名な金子辰也さんがデザインしたものです。
2. ジャケットを変える理由
- 同じデザイナーやスタイルを続けることは「マンネリ」になるため、アルバムごとにその時の音楽性や気分に合わせて新しい表現を取り入れるようにしていると語っています。ただし、シングルなどの一部では一貫性を持たせることもあるとのことです。
3. アルバム『FOR YOU』と楽曲「LOVELAND, ISLAND」について
- 『FOR YOU』制作時は、バンドメンバーやスタジオの環境が非常に充実しており、演奏のクオリティが高かったと振り返っています。
- 「LOVELAND, ISLAND」: この曲はCMタイアップがありましたが、当時はあえてシングルカットしないことで、アルバム全体の価値を高める戦略をとっていました。この曲は、先にCM用の映像(サンバを踊る女性のフィルム)があり、そのテンポ(BPM)に合わせて楽曲が制作されたという裏話も披露されています。
結論
達郎さんは音楽だけでなく、視覚的な要素であるジャケットデザインにも自身の美意識を強く反映させており、それが作品の世界観を広げていることがわかります。また、「LOVELAND, ISLAND」の制作秘話からは、映像と音楽の融合や、当時の音楽業界のマーケティング戦略の一端も垣間見ることができます。
山下達郎40th④ ラジオで流す音楽とCDで聞く音との違いを語る
Geminiによる要約:
この動画は、山下達郎さんがご自身の音楽制作における**ラジオ放送用の音源(マスター)**へのこだわりと、音質に影響を与える環境要因について語ったインタビューの要約です。
動画の主な内容は以下の通りです。
1. ラジオとCDで「良い音」の基準は違う
- ラジオ用マスターの制作: 山下達郎さんは、自身の楽曲をラジオで流す際、CDのマスターとは別に「ラジオで聴いて良い音」になるように調整した専用のマスター(リマスター)を作成しています [00:34]。
- 音の仕組み: ラジオ放送局、特にアメリカの放送局は、小さなトランジスタラジオでも音がよく届くように、リミッターやコンプレッサーといったエフェクトをかけて音を変えています [00:52]。
- ラジオの「ガッツ」: ラジオで聴く音は、そうした処理によって「ガッツ(迫力)」がある音になり、聴いて感動してCDを買いに行くと、CDの音は逆に「弱い」と感じられることがありますが、これは放送局側が意図的に作っている音なのです [01:33]。
2. 音質を左右する「電力」の問題
- 環境の影響: 音質は、天候や湿度だけでなく、電力に大きく影響されるという、一見オカルトとも思える話が語られています [02:40]。
- 都心スタジオの宿命: 六本木にある達郎さんのスタジオでは、再開発による人口増加や、夕方5時頃に飲食店が開店することで電力消費が増えるため、音質が変わってしまいます [03:07]。
- ミキシングの制約: そのため、安定した音質でミキシングを行うには、人々が活動を始める前の夕方4時まで、または皆が寝静まった深夜12時以降に行う必要があると述べています [03:27]。
- 極端なオーディオファン: 知人には、電力消費が最も少ない夜中2時や3時に起きて音楽を聴き、また寝るというオーディオマニアがいるというエピソードも紹介されています [03:57]。
3. NHK放送用の特別な調整
- この番組で流された楽曲「マーマレード・グッバイ」(1988年アルバム『僕の中の少年』収録)も、このNHKの番組用に特別にリマスターされています [05:25]。
- NHKは民放と比べて放送設備が良く、ナレーションと音楽の音量がほぼ同じレベルで出るため、あまり音を硬くしすぎるとかえって音が潰れてしまうため、NHK用に微調整していると解説しています [05:30]。
これらの話から、山下達郎さんがリスナーに「より良い音楽体験」を届けるため、音の聴かれ方や再生される環境まで細かく配慮して制作を行っていることが分かります。
山下達郎40th⑤ 竹内まりやへの音楽制作と今後の活動を語る
Geminiによる要約:
この動画は、山下達郎さんが妻である竹内まりやさんの音楽制作をプロデュースする際のスタンス、夫婦としての関係性、そしてご自身の今後の活動について語ったインタビューの要約です。
1. 竹内まりやさんの音楽制作について
- プロデュースのスタンス: 達郎さん自身が曲を書き、歌も歌う自身の作品と比べ、まりやさんの場合はプロデューサー・編曲家として関わるため、俯瞰して見られるという点で圧倒的に楽だと語っています [00:29]。
- 自己評価の難しさ: 自身の歌を自分で評価するのは難しく、録音した直後は判断がつかないため、翌朝聞き直す必要があるのに対し、まりやさんの作品はクールに客観的に見られるため、歌のテイクや編曲上の立ち位置を適切に判断できるとしています [00:40]。
2. 夫婦・アーティストとしての関係性
- 意見の衝突(闘争): 夫婦とはいえ、曲のテンポや編曲など、作品制作に関して「このテンポじゃダメだ」「もっと遅くしろ」といった**激しい議論(闘争)**は昔からめちゃくちゃあると明かしています [02:21]。
- 必要なもの: アーティストとして極端な意見を持つ者同士の「狂気のぶつかり合い」を避けるためには、「尊敬」と「理解」、そして「徹底的な話し合い」が必要だと語っています [03:53]。以心伝心は不可能であり、言葉で誤解を解いていくことが不可欠であるとしています [04:02]。
- 共同制作の条件: 技術的な問題以上に「人間的な問題」が重要であり、気が合う人としか一緒に作品作りはできないという信念を述べ、長年のキャリアで気が合うメンバーやスタッフが築かれてきたと語っています [04:32]。
3. 竹内まりやさんのクリスマスソングの背景
- まりやさんが多くのクリスマスソングを書く背景には、留学中にホームステイ先で七面鳥を焼くなど、本場アメリカの家庭的なクリスマスのノウハウを学んだ経験があり、彼女はそれを忠実に守っているためだと語っています [05:28]。

